「この店を選んで、そのピアスを買った、ってことだよね」
「うん…」
「やっぱりエスパーだわ、流川直人」
「だから、」
違うって。
言ってやろうかと思ったけれど、口ごもる。
ホントにエスパーかも…なんて。
思っちゃうな、これじゃ。
「そうそう。唯衣、知ってた?」
「え? なに?」
「ピンクトルマリンの、石の意味」
「意味?」
「うん」
腰に手をあてて、得意げポーズをとる麻紀。
このポーズがでると、麻紀の自慢話か、偶然知っちゃいました話が飛び出してくる。
鼻の穴、開いてるし。
「なに? また何か『すごいでしょ情報』でも仕入れた?」
「唯衣のピアスを見てからさ、あたしも石系のピアスが欲しくなっちゃってさ。この前祐二を引っ張って買い物に行ったのよ、この店じゃないけどさ」
「買わせる気で?」
「うん。でもアイツ貧乏だからさ、はぐらかされたけど」
腕を組んだ麻紀の唇がとがっている。
「残念」
「まったく。パチンコなんてやってるから」
「あはは。で? 石の意味って?」
「ああ、そうそう」
麻紀の目が、きらんと光って。
お、始まるぞ。
すごいでしょ情報。
「ふたりでさ、あーでもない、こーでもない言いながらお店のなか見てたらさ、店員さんが近寄ってきてね」
「うん」
「参考にどうぞって、石の意味とか効能とか書いてある紙をもらったのよ。あたしたちがケンカ腰になってたからかもしんないけどさ」
「はは」
麻紀と祐二くんの買い物姿…
想像しやすいったら。