「今日は? どうすんの?」
「今日は真っ直ぐ帰るよ」
「一ヶ月も放っておいたんだもんな」
「ああ。さすがに可哀そうだろ」
「じゃあ、明日からは彼女の相手ってことか」
「まあな」
握り締めたグラスのなかのアイスティー。
だんだんぬるくなってくるのが分かって。
二股? 流されてる?
なんのこと?
頭のなかが混乱して。
「しかしお前もよくわかんねーヤツだよな」
「なにが」
「だってよー、いきなり部屋をレンタルさせたりさ。ま、頼まれたんだろうけどさ。サナエみたいなヤツにつかまっちまったり。それも強引になんだろうけど」
「うーん、まあ」
「先のこと考えるのが苦手なんだろ」
「うーん、そうなのかな。自分では何にも意識してねーんだけど」
「俺はお前と長いからさ、わかるけど。悪いヤツじゃねーってことも」
「うん」
「優柔不断でお人よし、まさにそれなんだよお前は」
「…ふ。わかんねーけど」
「優しすぎんのもダメだぞ。知らないうちに誰かのこと傷つけてるからな」
「ああ、わかってる」
言葉の意味が…よく分からなくて。
でも…
二股をかけられていた。
その事実が胸を突いて。
その場では…
何も考えられなくなっていた。
「ちょっと俺、トイレ」
「あ、俺もついでに」
「ついでって」
ガタンと椅子を引く音がして。
びくっとカラダが震える。
一層身を縮めて。
私は二人の気配が遠ざかるのを待った。
二人が消えた隙をみて立ち上がった私は。
ビニール袋を無造作に抱えて。
会計をするときも上の空のまま、
逃げるように、走って店を出た。
「今日は真っ直ぐ帰るよ」
「一ヶ月も放っておいたんだもんな」
「ああ。さすがに可哀そうだろ」
「じゃあ、明日からは彼女の相手ってことか」
「まあな」
握り締めたグラスのなかのアイスティー。
だんだんぬるくなってくるのが分かって。
二股? 流されてる?
なんのこと?
頭のなかが混乱して。
「しかしお前もよくわかんねーヤツだよな」
「なにが」
「だってよー、いきなり部屋をレンタルさせたりさ。ま、頼まれたんだろうけどさ。サナエみたいなヤツにつかまっちまったり。それも強引になんだろうけど」
「うーん、まあ」
「先のこと考えるのが苦手なんだろ」
「うーん、そうなのかな。自分では何にも意識してねーんだけど」
「俺はお前と長いからさ、わかるけど。悪いヤツじゃねーってことも」
「うん」
「優柔不断でお人よし、まさにそれなんだよお前は」
「…ふ。わかんねーけど」
「優しすぎんのもダメだぞ。知らないうちに誰かのこと傷つけてるからな」
「ああ、わかってる」
言葉の意味が…よく分からなくて。
でも…
二股をかけられていた。
その事実が胸を突いて。
その場では…
何も考えられなくなっていた。
「ちょっと俺、トイレ」
「あ、俺もついでに」
「ついでって」
ガタンと椅子を引く音がして。
びくっとカラダが震える。
一層身を縮めて。
私は二人の気配が遠ざかるのを待った。
二人が消えた隙をみて立ち上がった私は。
ビニール袋を無造作に抱えて。
会計をするときも上の空のまま、
逃げるように、走って店を出た。