濡れた服を着替えて、コーヒーを淹れて。
ゆっくりカップを傾けながら香りを嗅いでいると、
零れ落ちるままだった涙も、次第に乾いてきた。
0時を少し過ぎたころ。
カエルを抱いてソファに座っていた私のそばで、
バッグのなかからブルブルと鳴る物音に気づいた。
「電話…?」
もしかして…流川?
瞬間、そんなことを思ってしまう自分に、呆れてしまう。
それでも。
ほんの少し、期待を込めて取り出した携帯。
「あ…」
要くんからの電話だった。
約一ヶ月ぶりのその電話に、驚いてしまう私。
表示されている要くんの名前をしばらくみつめていたけれど。
はっとして、慌ててボタンを押す。
「も…もしもし…?」
急いで耳に押し当てれば。
「唯衣?」
聞きなれた、要くんの声。
瞬時に、一ヶ月前に引き戻されて。
「要くん…」
思い浮かべる、要くんの…大好きな人の顔。
「唯衣、久しぶり」
少し高くて、鼻にかかった甘い声。
一ヶ月も連絡なしで。
本当ならひと言、先に文句を言ってやりたいのに。
「要くん…久しぶりだね」
久しぶりに聞けた声に、
やっぱり高鳴る胸の音。
「唯衣、ごめんな。ずっと連絡できなくて。元気にしてる?」
「うん。元気」
「ホントにごめん。結構忙しくてさ。なかなか時間とれなくて。電波も悪いし」
「ううん。大丈夫」
「俺さ、今日戻ってきたんだよ。今駅にいるから、これから帰るな」
「え? これから? 帰ってきたの?」
「うん。あ、アイツ、いる?」
「え? あ…」
……アイツって…
「流川…のこと?」
「うん」
「…ううん…帰った」
「そう。ならタイミングもいいな。何かいる? 食い物とか飲み物とか」
「ううん、いい」
「じゃ、待っててな。すぐ帰るから」
「うん」
要くん…に会える。
なんだか不思議な感じがして。
私は電話を切ってからも、
携帯を握り締めて、ぼんやりしていた。
ゆっくりカップを傾けながら香りを嗅いでいると、
零れ落ちるままだった涙も、次第に乾いてきた。
0時を少し過ぎたころ。
カエルを抱いてソファに座っていた私のそばで、
バッグのなかからブルブルと鳴る物音に気づいた。
「電話…?」
もしかして…流川?
瞬間、そんなことを思ってしまう自分に、呆れてしまう。
それでも。
ほんの少し、期待を込めて取り出した携帯。
「あ…」
要くんからの電話だった。
約一ヶ月ぶりのその電話に、驚いてしまう私。
表示されている要くんの名前をしばらくみつめていたけれど。
はっとして、慌ててボタンを押す。
「も…もしもし…?」
急いで耳に押し当てれば。
「唯衣?」
聞きなれた、要くんの声。
瞬時に、一ヶ月前に引き戻されて。
「要くん…」
思い浮かべる、要くんの…大好きな人の顔。
「唯衣、久しぶり」
少し高くて、鼻にかかった甘い声。
一ヶ月も連絡なしで。
本当ならひと言、先に文句を言ってやりたいのに。
「要くん…久しぶりだね」
久しぶりに聞けた声に、
やっぱり高鳴る胸の音。
「唯衣、ごめんな。ずっと連絡できなくて。元気にしてる?」
「うん。元気」
「ホントにごめん。結構忙しくてさ。なかなか時間とれなくて。電波も悪いし」
「ううん。大丈夫」
「俺さ、今日戻ってきたんだよ。今駅にいるから、これから帰るな」
「え? これから? 帰ってきたの?」
「うん。あ、アイツ、いる?」
「え? あ…」
……アイツって…
「流川…のこと?」
「うん」
「…ううん…帰った」
「そう。ならタイミングもいいな。何かいる? 食い物とか飲み物とか」
「ううん、いい」
「じゃ、待っててな。すぐ帰るから」
「うん」
要くん…に会える。
なんだか不思議な感じがして。
私は電話を切ってからも、
携帯を握り締めて、ぼんやりしていた。