旅行から帰って。
アパートでの生活がまた始まった。
私と流川の関係も。
特になにが変わるわけでもなく。
それでも。
旅行前と後とでは、空気感が微妙に異なって。
…私だけかな、そう思ってるの。
流川といえば。
夜のバイトから戻ってくると、私を叩き起こし、
「腹へった。メシ」
「…メシ… はい、メシ…ふわぁぁ…」
寝ぼけたまま、目玉焼きとかパンとか差し出せば。
「目玉つぶれてるぞ、これ」
「は…ふぁ?」
「やり直し」
「…ふぅえ?」
「これはお前が食え。俺のぶんはやり直し」
「……」
…こんな感じで。
相変わらず。
(-"-;)
でも。
私が遅くなるときは必ず駅まで迎えにきてくれて。
私に歩調を合わせて、少し前を歩く流川の背中を見ながら、
時々振り返る横顔を見ながら、
ふいに掴まれる手に緊張しながら、
アパートまでの時間を過ごす。
そんな関係。
それが、私と流川。
部屋に戻れば。
テレビを見たり、コーヒーをすすったり。
旅行で覚えてしまったのか、肩もみさせられたり。
カエルは。
そんな私たちの間に座って、赤い口を開けて笑っていて。
旅行から帰ってきてからは、
まだ、ひとつもイイ事は起こっていない。
流川と離れる日まで…
また何かカエルの奇跡は起こるのかな…
…なんて思いながら、
三日が過ぎた。
レンタル関係、
あと…
五日間。