カエルと布団に顔をうずめて、しばらく時をしのいだ。


だけど、外の風は強まる一方で。


相変わらず、ヒューヒューと泣き声みたいな音が響いている。



布団のなかで丸くなると、今度は暗闇が襲ってきて。


何をしてももう、幽霊のことが頭から離れなくなっちゃって。


その姿までも想像してしまう始末。


髪が長くって、白い服を着てて、青白い顔で、痩せてて、唇だけが真っ赤で…



ぶるるるっ…


寒気と鳥肌。



布団から顔を出すと、まだ流川は向こうをむいたまま。


風の音で、寝息も聞こえない。



「流川…」



思わず、呼んでしまう。



「流川…寝た? …よね」



小声でつぶやいて。


ふう…と一呼吸。


布団を鼻まで持ち上げて、


もう一度丸まりかけた時。



――カサ…



布団の擦れる音がして。



「なんだよ」



声がした。


顔を出して前を見ると、


こっちを向いた、流川の顔。



「まだ寝てないのか」



低い声。


なぜか、安心してしまう私。



「早く寝ろよ」


「起きてたの?」


「ああ。寝かかってたけど」


「…そう」


「ちゃんと布団かぶって寝ろよ。お前寝相悪いし。いつも腹出して寝てるからな、俺が帰ってくると」


「……」


「変な下着つけてんだから、朝になって俺に見られんのイヤだろ」


「…やだ」


「早く寝ろ」



言って。


流川はまた、私に背をむけかける。