仕方なく、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出した私は、


「はい、水」


布団の上で寝転がる流川に差し出す。


「開けてくれ」

「はい?」

 
あのね…

ったく、はいはい、開ければいいんでしょ、開ければ。


「はい、開けたよ」

「さんきゅ」


受け取った流川は。


「これじゃ、飲めねーな」


言って。ボトルを私に戻した。


「飲ませてくれ」


…大丈夫ですか、あなた。

完全に酔ってない?


「寝てたら飲めないの当然でしょ? 起きろって」

「無理」

「…あのさ。寝るか、飲むか、どっちかにしたら?」

「飲むから、飲ませろって」

「言ってる意味がわかりません」

「頼むよ」


頼むよ…?

命令じゃなくて、お願いされた? 私。

なんだ? ちょっと新鮮なこの響きは。


「頼む」

「…うぅぅ」


な、なんだよ、ズルイぞ流川直人…

酔ってるとは言え…そんな潤んだ目で見上げるなっ。


「ど、どうやって飲ませるんだ…これ」


ボトルを持って、固まる私。

う~んと、どうしよう。

とりあえず、カラダを起こすしかないんだけど…

流川、なかなかしっかり筋肉ついちゃってるからな。

完全に起こすのは、無理。

というわけで、首の下に手を入れて。

頭を持ち上げてみた。

けど。

 
「お、重いな」


人の頭って、結構重いのね…