「で、要にはどこまで聞いてんの、あんた」


「え? なにが?」


 
布団を抱えたまま、そいつの背中に見惚れていた私。

 
質問の意味を理解するのに、時間がかかってしまって。



「だから、要に。俺が来るとか、誰かに部屋を貸すとか、そういう話」


「えーと…」


「要が合宿に行くって話は聞いてんだろ、もちろん」


「うん」


「他には?」


「他には…」




え~…何にも聞いてません。

 
私が要くんに聞いたのは、

 
サークルの合宿で、夏休みの一ヶ月間部屋を空けるっていうことだけで。

 
 
夏休みの間、要くんといっぱいデートしたりできるなぁ、なんて喜び勇んでいた私には、衝撃の告知だったけど。



「私が聞いてるのは…」




――話は三日前にさかのぼり……