「ねえねえ、流川くん」
私と並んで座る流川の隣りに這いつくばって移動してきた祐二くん。
なにやら流川に耳打ち開始。
流川の顔は引きつったままで、カラダが少しのけぞっている。
こしょこしょと話してるつもりでしょうがね、祐二君…
全然、小声になってませんよ? 普通に聞こえてますけど。
「あのさ、女の子のグループが泊まりに来てるみたいなんだよね。さっき廊下で見かけてさ。あとでちょっと抜けださない?」
あー…麻紀の不安、的中。
いつの間に女の子のグループ発見してんだ、この人。
「みんな可愛いんだよ、これが。下の階に泊まってるみたいでさ。遊びに行ってもいい?って聞いたら、OKもらったんだよね」
あらら…約束まで取り付けてきたの、この人。
ふと、動く影に気づいて、ふすまへ目をやる私。
あ。麻紀。
ふすまの陰から、半分だけカラダがのぞいてます。
目が…逆三角形白バージョンになってます。
き、聞こえてる…祐二くん…
「いや、俺は別に興味ないし。祐二さん、一人でどうぞ」
苦笑気味の流川の顔に。
「え~~、つれないなぁ。向こうから来てもいいって言ってくれたんだよ? こんなチャンス逃すのはもったいないって」
声が…デカイってば。祐二くん。
「チャンスって。別に出会いを目的に来たわけじゃないっすから」
「じゃ、なに? 唯衣ちゃんで満足ってこと?」
…唯衣ちゃん「で」って。
「せっかくだもん、遊んでおこうよー。あ、じゃあさ、女の子たちをパスするんならさ、部屋だけでもチェンジする? こっちとそっち」
むふふ、と笑う祐二くんの言葉に。
振り向くと…あああ…麻紀が…麻紀の顔が…
ハンニャの顔になってる…
っていうか、私も。
自然に頬が膨らんで。唇がとがってくるのが分かる。
こ、このドスケベ祐二!