流川のカラダが傾いて、抱いていたカエルを取り上げられる。


私のカラダを通り越した右手が畳の上に付けられて。


視界に映っていた天井は流川でさえぎられた。


その右ひじが折られれば、私は完全に流川の胸のなかだ。


固まる私に、



「目、閉じろよ」

 

上から低い声で呟いて。



「な…」


「いいから閉じろ」



先を言わせる隙もなく。


私に向かって垂れた黒髪が、流川の頬に影をつくる。

 

数センチ近づいたその顔に、


ぴくんっ…と反応する私の肩。



思わずぎゅっと目をつむってしまい。


ゆっくり近づいてくる気配に息がつまる。



……ぽふ。



……?

…ぽふ?



なんだこの、鼻先の…柔らかくて埃っぽいのは。


ゆっくり目を開くと。



「…??」



真っ赤な…毛?



「ふが…な…え? お、おま、カエルっ」



でっかい口で私の顔にかぶりついてきたのは…


カエルだった。