そいつの手が離れると同時に、
「ぷはーーーーっ」
私はおもいっきり息を吐き出した。
こ、呼吸呼吸っ。
酸素酸素っ。
とにかくひたすら深呼吸を繰り返し。
呼吸が整って。
…ハッ!!
と気づく、ベッドサイド。
苦しくて忘れかけてました。
そうだ、コイツ。
コイツっ!
一体、何者?!
「いきなり倒れんなよ、ビビったじゃねーか」
「ビビっ」
ビビったって…
ビビったのは、こっちだって!
「あああ、あなた誰っ? ナニ者?!」
「ぶ。なんだよ、ナニ者って」
くーーーっ、何笑ってちゃってんの、この人っ。
私はがばりと起き上がって、ベッドの端に移動した。
布団を盾にして、防御体制をとる。
って、弱いし。この盾。
「な、な、名をなのれっ!」
思わず叫ぶと。
「ぶーーーー!!!」
目の前の男、相当ウケました。
っていうか、まだあなた、裸なんですけど!
服を着ろ! 服を!
「要の友達。っていうか、知り合い程度だけど」
「要くんの…友達?」
「まあ、そう」
「で、なんでここに居るの?」
「さっき言っただろ、レンタルしたんだって」
「…レンタル」
だから…
その意味がわからないんだってば。