「神様は不平等だ」


「まあ、仕方ないじゃん、こればっかりは」


 
励ましになってないって。



「でもさ、あんたの童顔で胸だけ牛みたいだったら引くよ」


「いや…牛まではいらないけど、でももうちょっと…」


「可愛いじゃない、小ぶりで」


「小ぶり…」


「量より質だって」


 
…ここで使う言葉か?



「でもさ、流川にまでバカにされた」


「…あんたさ、やっぱりヤッたの? 流川と」


「違う違うっ。アイツが勝手に私のブラジャー洗濯しやがってさ。サイズ確認までされて…」


「あんたの服の上から透視したんじゃなくて?」


「だから、流川はエスパーじゃないんだってば」


「まあでも、要くんがあんたのカラダで満足してるんだったらそれでいいじゃん」


「え、ああ、まあ、そうね」


 
要くんは別に…なんにも言わないけど。



「祐二にあたしのカラダは勿体無いわね」


 
ふふん、と笑った麻紀の胸がぷるんと揺れて。

 
随分強気な発言ですなぁ。



「ところでさ、唯衣」


「なに?」


 
ひょい、としぶきを上げてまたお湯につかった麻紀。



「あたしさ、さっき旅館内をぷらぷら歩いてきたの」


「ふーん、で?」


「ロビーにある売店を眺めてきたのよ」


「ふーん、で?」


「そこにさ、若い女の子のグループがいてさ。あ、若い子がいるなんて言ってダメだからね、祐二に。アイツ馬鹿だから部屋まで乱入しかねないから」


「はは。で?」


「出るらしいよ」


「あ? なにが?」


「幽霊」


「…え?」