「ひゃ~、極楽極楽」


「あ~、最高~」


 
麻紀とふたり、肩まで沈んだ露天風呂。

 
さすが山の上の高いところにある宿だけあって、露天風呂からの景色は絶品。



「すご~い、空の上にいるみたい」


「こんなに緑に囲まれてるお風呂に入ったのなんて初めてだわ、あたし」


「私も~。あ~幸せ~」


 
真っ白な湯気が立つお湯加減も調度よく。

 
空気は美味いし、景色もいいし、空は青いしで言うこと無し。

 
しかも今日は平日で。館内ですれ違う宿泊客も少なく。

 
お風呂に入っているのは、まだ私と麻紀だけ。

 
うーん、最高。



「ホント麻紀が懸賞で当ててくれてよかったぁ」


「あたしってそういう運だけは強いんだよね」


「ホントにね」


「ちょっと、なんでそこは認めるわけ」


 
そんなことを言いながら、貸切状態をいいことに泳いでみたり。

 
ついついやっちゃうんだなぁ、こういうこと。

 
っていうか、背泳ぎはやめれっ、麻紀。


でも…



「あ~あ、麻紀はいいなぁ」


「は? なにが?」


 
散々泳いだ麻紀が石段に腰かけて。

 
オヤジみたいに頭にタオルをのせてはいるけれど。

 
長い足を組んで、後れ毛を撫でつけるすんなりした腕。

 
細いくせに出るとこ出てる、いいカラダ。



「スタイル良くていいなぁ、麻紀は」


 
それに比べて…

 
私の幼児体系…

 
ううう…自分の胸を見て、出るのはため息。