仲居さんが去ったあと。
入れ替わりでやってきた麻紀と祐二くん。
「唯衣~、お風呂お風呂、お風呂行こ」
そうだ、お風呂お風呂。露天風呂。
お風呂に向かってしまえば、とりあえず一旦流川から離れられる。
「流川くんも、風呂、行こうぜ」
祐二くんの言葉に。
頷いて立ち上がる流川。
「流川くん、背ぇ高いからなぁ。いいカラダしてそうだなぁ。ムフフ」
…と言ったのは、麻紀…じゃなくて、祐二くん。
振り返ってみると。
その言葉に引きつる流川の顔。
右頬がぴくぴくいってます。
(フフフ…お風呂で祐二くんに襲われればいいんだ)
なんてほくそ笑んでいた私だったけれど。
流川が現れた夜のことを思い出してしまい…
バスタオルが一枚巻かれただけの流川の上半身は。
確かに…いいカラダだったな…
「いやいやいやいやっ、そんなことないっ! なにを思い出してるんだ、私はっ」
ひとりで慌てて叫んでいると。
「やだ~唯衣。やっぱり流川直人と、そういう…」
にやつく麻紀。
あんた、また漫画みたいな顔になってるし。
「ち、違うって! ほらっ、早く行こ、お風呂お風呂」
私は麻紀の手をとって、廊下を突っ切ってお風呂へ向かった。