運転席の後ろから、流川の肩に手をのばす。

けれど、なんだか緊張して、すぐ引っ込めた。


いつも黒っぽい服装が多い流川にしては珍しく、今日は白いTシャツを着ている。

そのせいか、窓から入り込む光が反射して。

真っ直ぐな黒髪をキレイに照らしている。


近くで見ると、硬そうに見えていた流川の髪は、意外にも柔らかそうだ。


「と、特別だからね。あとで揉み代、過剰請求するからね」


「…言葉間違ってるだろ、それ。ま、これもレンタル料に含まれてるから請求はダメだ」


「…誰が決めたの」


「俺だ」


…だよね。

要くん…コイツにちゃんと、「部屋代だけ」っていう契約書、書かせれば良かったのに。


「ちゃんと揉めよ」


「…ったく」


一度引っ込めた手を再び伸ばして。

そっと流川の肩に添える。


手のひらに感じる流川の肩は温かい…というよりも、むしろ熱くって。

程よく硬く、柔らかく。


「////」


だーーっっ!!

なんで私が赤くなるわけ?

ホント私、男の人に免疫なさすぎです……


触られてる流川のほうといえば。

またミラー越しに私と目を合わせて。


「上手くやらないと、逆に何か請求するからな」


と、ニヤリ。


く……

その、たくらみ顔やめろっ!


「もうっ!」


ぐっと肩にかけた手にチカラを入れて。

わざと親指に体重をのせてやる。


「弱い」


マジ?

アンタ、どんだけハードプレイが好きなわけ?


「痛くないの?」


「全然」


「これは?」


ぐぐぐぃっとチカラを込める。

私、おしりが浮いてますけど。


「うん、そのくらいだな」


「場所は? このへんでオッケー?」


「ああ、そこでいい」


「く…ふ…ふうぅ…」


「……変な声出すな、バカ」


変な声って。

アンタがハード揉みが好きだから、チカラが入っちゃうんだって。