慎重に動く指の気配。

 
でも。



「いたっ…」


「あ、ごめん」


 
なかなか上手く、入らないみたい。



「痛いよ」


「お前が動くからだろ」


「動いてないじゃん」


「いや、動いてる」


 
少しすね気味に、唇を尖らす流川の顔。

 
やばいな。

 
やっぱり可愛いぞ…?



「ねー、まだ?」


 
からかってやると。



「うるせ」


 
ますます尖る唇。

 
フフフ……流川め。

 
いっつも私をからかってばっかりで。

 
今度は私の番だぞ? このヤロー。



「ねーねーねー、まだー?」


「黙ってろ」


「おっそいなぁ」


 
やっと片方装着。

 
耳たぶが、熱いよ。

 
時間かかり過ぎ。


 
左耳に取り掛かった流川。



「いててて」


「ごめん」


「痛いよぉ」


 
なんて。

 
痛くもないのにからかう私。


 

流川のドS、移ったかも。