「よし。外れた」


「え?」


 
流川の指には、私がつけていたシルバーの小さいピアスが挟まれていて。



「あ」


「ほら、しまっとけ」


「あ、はい」


 
手のひらにのせられて。

 
素直にうなづく私。



「まだ動くなよ」


「え?」


「新しいの、つけてやる」


「は?」


「全部吐いちまったバツとして、今日から当分、こっちをつけとけ」


「こっち…って?」


「俺があげたやつに決まってるだろ」


 
そう言うと。

 
再び動き出す流川の指。


 
ちろ…と顔を見上げると。

 
真剣な目つきで。


 
「ぷぷ」


 
思わず、笑ってしまった。



「なに笑ってんだよ」


「だって」


 
だって。

 
なんだか、可愛くて。



「だって、なんだよ」


「いや、なんでも」


「動くなって」


「うん」


 
時々、首筋に触れる流川の手のひらと指は。

 
おもいっきり熱い。


 
もしかして…緊張してます?