「ごごごめんっ! ピアス取り上げないでっ」


 
せっかく手に入ったのに!

 
ずっとずっと欲しかったピアス。


不審者に間違えられてまで眺めていたピアス!



「取り上げねーよ」


「…ほ、ホント?」


 
よ、良かったぁ…



「あ…ありがと」


「その代わり」


「へ?」


 
ニヤリ。笑う流川。

 
う。また、なにかたくらんでる、この人!



「ななな、今度はなに?!」


 
タオルを握り締める私の前。

 
大きなカラダで前に立ちふさがれると…迫力ありすぎ…



「が、ば、ご、やっ」


「意味わかんねー言葉吐くな」


「ぎゃ、ぼ、なにっ」


 
流川の右手が伸びてくる。

 
髪のあいだに通される長い指。



「ひゃ…」


 
くすぐったい。

 
吐いてしまったとはいえ、まだふらつく足と、回らない頭の奥。

 
うまく反応できなくて。



「ぶ、ぶつの?」


「アホ。女なんかに手、上げるか」


 
あらわになった私の耳元で。

 
なにやらうごめく流川の指。



「ちょ…ちょっと…くすぐったいんですけどっ…」