けれど。

 
倒れこんだ先は…



「あのなぁ…」


 
流川の腕の中。



「またか」


 
ま、まただ。



「何回、俺に倒れこんでくれば気がすむんだ、お前は」


 
包まれた胸の中で。

 
ぼんやり揺れる……3人の流川たち。



「あ、どれ?」


「はあ?」


「どれが本物の流川直人だ?」


「あああ?」


 
ぐるぐる、ぐるぐる、回る回る視界。



「うっ…うえ…」


「ちょ…お前…」


「ううう…やば、やばい…」


「ま、まさか」


「きも…気持ち、わる…」


「おいっ! 待て待て待て! ここで戻すな!」


 
私を抱えたまま、がばっと立ち上がった流川は。

 
そのままトイレへ直行。


 
口を押さえて、「んーんーんー」と今にも吐きそうな私の口を、さらに流川の大きな手が覆っていて。



「だーー、まだ待てよっ」


 
私以上に焦ってます。



「ぐ、ぐ、ふぐぐ…」


 
も、もう…限界。



「よし、行けっ」


 
……行けって。


 
ふと、そんなことを思ったけど。

 
次の瞬間には…



 
…すみません。汚くて。