私が小学三年の時、おじいちゃんが死んだ。

親族、親戚のみでしめやかに執り行ったお葬式には今まで見た事がないおっさんが一人静かに座っていた。

血の繋がりがあるんだかないんだか解らないそいつは自称霊媒師で、

『三郎さん』

と私の両親含め親戚皆からそう呼ばれていた。


そいつは周りに一切気を使う事なく、平気で何度も屁をこいていた。


三郎は、私が昔釘付けで見ていた刑事ドラマ、

[特捜最前線]に出ていた藤岡なんとか(セガタ三四郎)にそっくりだった

茶色いヨレヨレのスーツに身を堅め、いつもクールに装い、そのくせ何か事件があるとすぐに出しゃばるという役処が嫌いであった為、

三郎に対しても同じような感情が湧き、決して好感は持てなかった。

屁をこく所は特に嫌いだった。

小学三年といえばものすごく乙女なのだ。

乙女に屁などありえない、

『臭い』『汚い』『キモチワルイ』

どれか一つでも該当すれば即アウト


なんと三郎は初対面の私から3ランホームランを奪っていった。


やがて坊主がお経を唱えにやって来た。

ムニャムニャと有難いお経を唱え始め、20分程で終わった。