「あ、すみませんが、
やっぱり先に染み抜きを…」

「何で?」


そう言って、腕を引き寄せられた。


「は、早めの方が良いし。」


かなり動揺していた。


今、優輝の腕の中にいる。

体温が直接感じられる。


「すみません。」


そう告げて、腕を押しのけて行った。


それでも一度も眼を合わすことはなかった。



「また、俺なんか
変なことしたっけ?」


最近はいい調子だったのに。


美怜は駆け出して洗い場で洗っていた。


(…分からない。
どうしたらいいの?)




次の日も一日中ずっと上の空のままでいた。


何をしても失敗ばかり。


もう、訳が分からなくなっていた。


そして、麻衣との約束の日。


今日で麻衣が帰ってくる日。


(多分、ちょっとした
病気だ。大丈夫。)


心の中でこの二日間ずっと何度も何度も言い聞かせてきた言葉。


きっと明日には治るはずだと…。