「リリー・ルゥが天上界で辛いめにあっていたのは知ってるよね。」


レスターの話と、夢の中でのリリー・ルゥから伝わってきた感情を思い出して、凛々はコクンと頷いた。


タロは1拍間をおいてから話し出した。
それはとても辛い話だった。


あのあと二人は直ぐに見つかり連れ戻されたんだ。
彼女の母親は、連れ戻された時にはすでに弱っていて、多分あのまま天上界にいても数ヶ月で命は尽きていた。
けれど天上界の決断は追放だった。


何度も何度もリリー・ルゥは罰則を軽減して欲しいと願い出たらしいが、処分は変わらなかった。


母は、娘と暮らしたいだけなのに。何故それが罪になるのか。


リリー・ルゥの深い悲しみは、徐々にこの世界そのものの摂理に、矛盾に向き、やがて怒りに変わっていったんだよ。


「凛々だってこの時の彼女の気持ちくらい理解出来るだろう?」