「自分の国の問題は、その国の民が解決すべきでしょ?けれどこの世界はそれが許されない。
全て契約により定められているから。」


リリー·ルゥは続けた。

「でもね。契約は法律と同じ。抜け道があるの。」


いたずらっ子が秘密を明かすように、目を大きく開けて口許には微笑みさえ浮かべて小声で話す。

「抜け道?」


凛々はまだ状況を掴めずオウム返しに聞いた。


「そうよ。私を見て。天界人だった私は、今は何者でもない。“W”を持つ者でもなくなったわ。」

凛々はまじまじとリリー·ルゥを見た。