凛々はただ逃げる事しか考えていなかった。


少しでも遠くへ行きたかった。


息を切らして自室へたどり着くと、そこにはすでにジャスティスが立っていた。


逃げられない恐怖が凛々を更に追い詰める。


向きを変えて走り出すと、手首を痛いほど掴まれて、引き戻された。


「待つんだ!」


ジャスティスの有無を言わせない声色に、凛々はビクンと身体を震わせた。手から伝わる感触から、今は手袋をしていると分かる。


「待ってくれ…。」


ジャスティスは今度は懇願するように言う。


「話を聞いてくれ。」


凛々は振り向かなかった。


「今は何も聞きたくない!」
凛々は掴まれた手を振り払おうとしたが、ジャスティスは離さなかった。