「リリー様!リリー様!いらっしゃいますかー!!」
マーサは真っ青になりながら走り回っていた。

てっきりお庭を散策されていると思っていたのに、何処にもいない。


(ああ、どうしよう。リリー様に何かあったら!)


専属で身の回りを任されている者としてあってはならない失態だ。


メイド頭としてのプライドなど、気にしていはいられない。

なかまのメイドにも声をかけ一緒に捜してもらった。


「リリーさまぁ!」

声の限り叫んだが、何の返答もない。


あぁ、どうしよう。

(まさか、また消えてしまったんじゃ)

そんな事を考えてしまう自分を戒め、頬をパンパン!と叩いた。


(そんなことない!さっきご一緒していた時はとても楽しそうだったもの。)

今のリリー様は昔のリリー様とは違う。


気さくで、優しくて。
なにより私を信頼してくれている事が一番嬉しい。


姫様と言うより友達のように接してくれる、今のリリー様が私は大好き!