「…杏?」



耳元で、浩ちゃんの声が聞こえる。


あたし寝ちゃってたんだ…

ふわふわした思考回路で思いながら、まぶたを押し開けた。



「浩ちゃん…?おかえり…」

寝起きの舌っ足らずで呟くと、


「ん、ただいま。」

大好きな笑顔と一緒に言葉が返ってくる。



一人でどれだけ悩んでも、浩ちゃんの顔を見たら全部吹っ飛んでしまう。


これも恋の力かな、なんて思ってみる。



ふと見えた浩ちゃんの腕に、レンタルビデオ店のバッグ。



「DVD借りてきたの?」


「うん、杏が観たいって言ってた映画。一緒に観るか?」


「うん、観る!」



あたしの言ったことを覚えてくれてて、
そのDVDまで借りてきてくれた浩ちゃんに、
2倍の感動を感じる。



…うん、やっぱり好きだな、浩ちゃん。