「…あんた!!!!バカじゃないの!?」




頬の痛みの原因は文香に平手打ちされたからだった。



目の前の文香は肩で息をしながら、俺にかかってくるような勢いで怒り続ける。




「なんでハッキリと好きだって言わないの!?伝えなきゃ伝わらないのよ!?どうして誤解を解いてあげないのよ!!!!!」




教室にいた生徒は全員廊下へと避難したようだ




勉強が大好きな一人のクラスメイトが言っている文句が微かに聞こえる。




どうでもいいことにばかり頭が回っているのは、肝心なことをなにも考えられないからだ




「あんたばかなの!?もう、涼を苦しませんな!!!!……どけなさい!」





文香は俺の腕をつかんで廊下にいるクラスメイトー掻き分けながら連れ出す。




「ちょ、どこいくんだよ!!!!」



俺は連れられるまま、校舎内を歩った




「…文香!!!どこいくんだよ!!!!」





文香はいつも俺に行き先を告げずにどんどん進んでいく






俺に、前を歩かせることを許してくれない






いつだって俺は文香の後ろにいるんだ