「…千尋は?」




文香の声に目を見開く。



ちょうど早坂の陰になっていることと、顔を伏せていたおかげで涼と文香に俺の存在は気付かれていないらしい




早坂…頼む言わないでくれ!!!!!




「…っあー。さっきトイレ行ったっぽい?」




俺の気持ちが届いたのか、早坂はうまくない嘘をなんとか言ってくれた





ほんと、正直者だよな…





涼と文香の返しを待ってる間に、俺の心臓は信じられないくらい暴れて変な汗が出てくる





すぐそこに涼がいる。




すっげえ嬉しいはずなのに、怖い。





…また、拒否られるのが怖い





「ふーん。千尋って昔からお腹弱かったしね」





バレてないことに安心する。




そう言えば文香は鈍感だったっけ





「そーなんだー!で、二人は黒瀬になにか用あったの?」





早坂は嘘に突っ込まれないうちに話を変えた。







「んー直接的には、なかったよ」



どう言うことだ?