「どうしたの?」
私が声をかけた瞬間、楓香ちゃんは泣き顔で私を見、抱き付いて来る。
またか…。胃がねじれ、苛立ちが頭痛を誘う。
楓香ちゃんは何も言わなかったが、悠里は声を低くする。
「いい加減にしなよ。そうやってあすに甘えて、あすがどんなに苦しんでるか分かってるの?」
何も言わない楓香ちゃん。だが悠里が言葉を紡ぐ度、抱き付いている手に力が入る。助けて、というように。