もうあの楽しかった日々には戻れなくても

私は逃げない...

やっと見つけた私の居場所を失いたくない


「小日向のいる場所教えて...」


きっと家じゃないことはわかってる



「はぁ...まさか春ちゃんにこれを言う日が来るなんてな」


何言ってるの...?


「本当は絶対言うなって言われてたんだけど俺は言わなきゃいけない気がする」


「小日向は.........





癌だ。」




「え...?」



何を言ってるの?


冗談とかやめてよ...


「そういう冗談やめ...」



「冗談でこんなこと言えっかよ!!!」



ビクッ

本当に...本当に...小日向が...が...ん


「ご、ごめん...きつく言い過ぎた」

私が気づいてあげなきゃいけなかった...



私が手を差し伸べてあげなきゃいけなかった...


そしたら温もりもこれからも2人で...


「あいつ...今は林病院にいる」


私は走った...転んでも怪我しても関係ない


小日向が抱えてた心の傷の方がよっぽど痛いに決まってる...



「小日向...!」



小日向の口には酸素マスクがつけられていて

点滴もされていた


静か過ぎて驚いた



やっと聞こえる音は心電図モニターのピッピッって音だけだった



「嘘よ...目をあけて小日向...」


ガラッ...


「未良...!」


「やっと気づいたんだ」



「あんたなんでここに...」


「そりゃ、お見舞いに決まってんでしょ」


「あんた知ってたの?小日向が病気って...」


「うん...なんとなく様子がおかしいと思って家に行ったの
そしたら教えてくれた」


「なんで私に言わないの...」


「小日向くんが絶対言うなって」


五十嵐君と同じ事言われてたんだ...


「本当はまだこのままでもいいって思った」


「...え?」

「...あたしが毎日お見舞いに行くってこと」

「あた...あたしはっずっとずっと小日向くんが好きだった」


知ってるよそんなこと...

ずっと前に気付いてた


私と小日向が二人で帰るとき


私のこと悲しそうに見てた

ずっと申し訳ないって思ってた


「っ...ごめん!あたしなんてこと...」


「まって!」


「未良...あんたが誰を好きになろうと関係ないじゃん...
同じ人を好きになるとか仕方のないことでしょ?」


もう遠慮はして欲しくないの