「…………もう、本当は……部活やめたい……」
「…………そうか。」
「だけどさあ……負けたくねえんだよ……」
「……ああ。」
「……俺……バスケ、すっげえ好きだもん……」
「……俺もだ…。」
「…………カズ~…」
「……頑張ったな……」
そう言って頭を撫でてやる。
どんなに酷いことをされてもずっと我慢して頑張ってきた拓真。
ボールが当たった跡がアザになっている。
腕や足、襟から覗く鎖骨や、きっと背中にもあるだろう。
許せなかった、ここまで大切な仲間を傷つけた先輩達が。
「……カズ、ちょっと……」
拓真の頭を撫でて落ち着かせてると、勇大に呼ばれた。
ダンッ!!!!
「くそっ……!!」
廊下に出ると、勇大は思いきり壁に拳を叩きつけた。
「タクも都子も……何か悪いことしてるのかよ。」
その声は震えてた。
「俺もカズだって、何も間違ったことしてないし、言ってないだろ……」
「勇大……」
「はは……俺までこんなんじゃ、駄目だよな……」
こういう時、どうして俺は何も言えないのだろう。
いつもそうだ、言葉足らずで、どう声をかければいいのかわからない。