俺が颯汰に変わって状況説明をすると、母さんは真剣に話を聞いたあと、俺と颯汰をぎゅうっと抱き締めた。


「よく、走って逃げてきたね。2人とも偉いわ。颯汰くんも、よく頑張ったね。もう、泣いていいのよ、我慢しなくていいんだからね。」
「う、ううう……あ、あり、ありがとう……ひっく……」
「そうたあ……」

颯汰はその日、ずっと泣いてた。

俺は、そんな颯汰の傍にいた。

「……迎えに、行かなきゃ。」
「え?誰を?」

そのあと、颯汰は驚く一言を言った。



「病院に、産まれたばっかりの妹を、迎えに行かなきゃなんだ。」