「颯汰……そんなアザ、あったっけ?」
「こ、転んじゃって……」
「……膝も、鎖骨のとこも、そのおでこの傷も?」
「あ、う、えと……」
颯汰がどもってると、ダンダンとすごい足音が近づいてきた。
ガチャッ!!
「颯汰、いつまで喋ってるの!!……あんた、誰?」
「……颯汰の、親友です!!」
「お、お母さん……」
「あんたに友達なんて、親友なんていたのねー。悪いけど帰ってくれる?ほら、颯汰こっち来な!!」
お酒とタバコの匂いがした、ハデで恐い顔の女の人が出てきた。
颯汰の、お母さん……
「あ、あああ……」
「ほら、早く来なって!!」
「た、助けて、レジ……!!!!」
ものすごく怯えた声で震えながら言った颯汰の手を握った。
「颯汰、走るぞ!!!!」
「うん……!!!!」
「あ、コラ!!!!颯汰あああ!!!!!!」
後ろの方で颯汰のお母さんがギャーギャー騒いでるけど、俺はただただ颯汰の手を引いて走った。
「お母さん!!お母さん!!!!」
「何々、どうしたの蓮次……颯汰くん?どうしたの、その怪我!!」
「う、う、うあああああーん!!!!」
肩で息をしながら帰ってきた俺と颯汰を見て、母さんが血相を変えて飛んできた。
すると、何かをプツンと切ったように颯汰が泣き出した。
颯汰は、いつも我慢してたのだろうか。