な、何でこうなるの!?
試着ゾーンで蓮次くんと2人きりって……
ざわざわする教室なのに、2人きりって何か不思議な感じ……
「あれ、結愛、浴衣ってどっちが前だっけ……」
「え、ああ、左が前……」
蓮次くんに近づこうとすると、足下に置いてあるいろいろな物につまづいた。
「きゃっ……」
「わ……!!」
ドサッ……
「っ!!」
つまづいたあたしは、蓮次くんを押し倒すような体勢になっていた。
しかも、着替え途中だから蓮次くんは上半身裸だし……!!
「ご、ごめ……」
「大丈夫だって……結愛は大丈夫か?」
「あ、うん、大丈夫……」
そう答えると、蓮次くんはあたしの髪の毛に触れた。
ドキンッ
「れ、蓮次くん……」
「結愛……」
ドキドキドキドキドキドキ……
な、何かいつもより色っぽいよ、蓮次くん……あ、浴衣のせいかな?
て、か、顔が近づいてる気が……
「あ……蓮次く……」
「着れたー?」
クラスメイトの声に2人してビクッと肩を揺らすと、蓮次くんは少しムッとした表情で立ち上がった。
「あと少しだから、待ってて!!」
「はいはーい。」
「ん。」
「え?」
「……俺、浴衣着れないから……着せて。」
「あ、はい。」
羽織った浴衣の袖をピンと引っ張って両手を広げた蓮次くんに、可愛いなと思いつつまだドキドキしていた。