パンッ!!
と、ピストルの合図に紙を引いたのは部長、勇大である。
「えーと、1つは“白いもの”。もう1つは“名前に【み】がつく人”……て、アイツだな。」
『おーっと、男子バスケ部、初っぱな1人2つの借り物があるにも関わらず速い速い!!!!』
もちろん、これで俺が借りるものって言ったら……
「……え、何、勇大?」
「ん?借り物。」
「え、何借りに来たの?」
「ん?都子借りにきた。」
「は?意味わかんな……」
「結愛、ミズキ、都子借りてくね。」
「「どうぞ!!」」
そう言われて、俺は都子の手を引いた。
「え、わ、私で2つの借り物できたわけ!?」
「うん、“白いもの”と“名前に【み】のつく人”。完璧でしょ?」
「あ、私白組だから……」
ハチマキを指さしながら俺の手を握って走る都子。
…………可愛いな、やっぱり。
『おー!!バスケ部部長、彼女とのラブラブっぷりを堂々と公開しております!!!!なんとも羨ましい!!!!』
今年の放送部の人、ちょっとうるさいなあ……
顔を赤くしながらも最後まで一緒に走ってくれた都子。
「ありがと、大好きだよ。」
「っ!!」
あ、また赤くなって、可愛いな、本当に。
「……私の方が、もっと好きだもん。」
「あー……俺、今なら幸せ過ぎて死ねる。」
「ば、馬鹿!!!!」
「あー、暑い熱い!!もう、俺行くからねー!?」
そう言ってバトンをもらったタクは恨めしそうに俺達を見て走って行った。