ああ、ちくしょう。

可愛いこと言ってんなよな、結愛め。

そんなこんなで迎えたリレー。

「はあ~…何でだよ。」
「はは、レジもアンカーかよー!!」
「爽やかに笑ってんじゃねえよ、悠。」

悠達は白組。

まあ、クラス対抗みたいなもんだからあまり関係ないけど……

ほぼ同時で俺と悠にバトンが渡った。

「走れ走れー!!!!悠ー!!!!」
「悠く~ん!!!!!!!!」
「きゃー、桐谷く~ん!!!!!!!!」

あまりの接戦に歓声があがる。

大半が女子のきゃーきゃーと耳をつんざくような叫び声で頭が痛くなりそうだったけど、ゴール直前。


「蓮次くん!!!!がんばれー!!!!!!!!」


グンッ


耳に届いた、好きな奴の声。

自分でもわかるくらい、足が前に出た。


『勝者、赤組~!!!!』

「ちくしょー!!負けた!!!!」

そう言って楽しそうに笑う悠と俺は、肩で息をすると空を仰ぎ見た。

「すごい、さすが蓮次くん!!かっこよかったよー!!!!」

結愛を見て、一言呟いた。


まだ、体育祭は始まったばかり。


「バーカ。」