「ねぇ、麻美佳ちゃん」


私を抱きしめたまま、雨宮先輩は私を見下ろす。

私より頭一つ分以上背の高い雨宮先輩。

抱きしめられているからっていうのもあり、私が顔を上げると、いつも以上に距離が近い。

ただでさえ、雨宮先輩と一緒にいる時はドキドキなのに。

こんな近い距離だと、ますます私の心臓は早くなる。


「朝さ、何で目を逸らしたの?」


雨宮先輩は、まっすぐ私を見つめ聞く。

雨宮先輩に抱きしめられ、今、すごく嬉しくて、幸せで一瞬忘れていた朝の出来事。

雨宮先輩の今の一言で思い出す。

だけど、雨宮先輩には言ったら、あの先輩達に何をされるかわからない。

それに、雨宮先輩にも迷惑をかけてしまう。

だから、言えない……