「えっと……」


瀬戸とは同じクラス。

先生に頼み事をされた、とか何か適当に言えばいいのだけど……

言葉が出てこず黙ってしまう。

そして、何も答えられず、おどおどしていると


「……ごめん。ただのヤキモキ」

「えっ?」


雨宮先輩は照れたようにそう言うと、私の腕をグイッと引っ張り抱きしめる。


「麻美佳ちゃんと瀬戸は同じクラスなんだから、一緒にいるのは仕方ない事なんだけどさ……。でも嫌なんだ。ごめん、独占欲強くて」


ヤキモチを焼いてくれた雨宮先輩。

今日あった嫌な事が吹っ飛んじゃうくらい嬉しくなる。

私も雨宮先輩の背中に腕を回し、ぎゅっと抱き着く。

そして、顔を上げ


「嬉しいです」


にこっと笑いながら雨宮先輩を見上げる。