半刻後に必ず戻って来い、と檀弓から言われていたのに。




もしも、何も報告せずに、一人で汀について行ったことが、ばれたら。





怒ると非常に恐い檀弓の、烈火のごとき罵倒を想像し、藤波はぞっとした。





しかし、このまま汀を野放しにしてしまえば、一体どうなることか。



そのことが灯にばれたら………。





先ほど想像した、静かすぎる冷たすぎる灯の怒りを思い起こし、ぞくりと背筋に悪寒が走った。






(…………やっぱり、こっちが優先だ!!


ごめん、檀弓!!



でも、この人、一人で行かせたら、どうなるか分かったもんじゃないし!!


止めてもどうせ無駄だし!!



仕方がないんだーーー!!)







頭の中で檀弓に言い訳しながら、藤波は汀のあとを追って駆け出した。