「ちょっ、ちょちょちょ!!」





「ちょちょちょ?」






汀は足を止めずに頭だけで藤波を振り返る。






「ちょ……っと、待って!!


もう行くの!? 今からっ!?」





「ええ、そうよ。


早いに越したことはないじゃないの!!


じゃ、また後でね!!」





手を振って歩き出した汀の腕を、しかたなく藤波は両手でぎゅっと掴む。






「あら、なあに? 藤波ちゃん」






藤波は溜め息をついてから、汀に言った。






「………俺も、行くよ!!」






反射的に言ってしまってから、藤波はちょっと後悔した。