思いっきり怪訝な顔をしている藤波を物陰に連れ込んで、汀が語った計画は、まったくもって珍奇なものであった。






「ーーーとにかくね!!



賞金首になっている『赤毛の男』は白縫山の火影童子じゃないか、って思ってる人が多いの。


このままだと、蘇芳丸はすぐにでも捕らえられちゃうかもしれないわ!」





「………あの灯が、そんなに簡単に普通の人間に捕まるわけないと思うけど」





「でも、分からないじゃない!!


万が一のことを考えて、今できることは今のうちにしておかなきゃ!」





「…………そりゃ、まぁ………」





「だから、ね!!


赤毛の男は火影童子だけじゃないって思わせて、そういう噂を流せばいいんじゃないかと思うの!!」





「…………そう?」





「とにかく私は、この赤毛の鬘を被って、白縫山とは反対の方角に出没して、それが賞金首なんだと思い込ませるの!!」





「…………そんなに上手いこといくかなぁ………」





「だぁいじょうぶよ!!


じゃ、行ってくるわね!!」





「えっ!!??」






汀があっさりと歩き出したので、藤波は慌てて引き止めた。