「…………あの。


髪、赤いんですけど」






藤波は目を点にして呟いた。




汀は悪戯っぽく笑って、その一筋の髪をつまんで藤波に見せる。






「ふふふ、よくできてるでしょ?


これ、鬘(かづら)よ!」





「…………は? 鬘?」





「そう。さっき、鬘のお店で買ったの」





「…………なんで、汀が鬘かぶる必要あるわけ?


べつに禿げてないのに」






至極まっとうな言葉を吐いた藤波に、汀は力強く頷いてみせる。






「…………これにはね。



蘇芳丸の命がかかってるのよ!!」







「…………はぁ??」