空中で汀をくるりと回転させ、自分の後ろに座らせる。





「…………そこでじっとしてろ」




「え?」




「俺が手綱をとるから、お前はとにかく余計なことをせずに黙って座っとけ」




「…………はぁい」






汀はつまらないとでも言いたげな面持ちだったが、さすがに文句は言わなかった。






「………しっかり俺につかまっとけよ。


落ちても放っていくからな」






「ま、ひどいこと言うわね」






ぶつぶつと呟きながらも、汀は言われた通りに灯の腰に手を回し、その腹の前で手を組んだ。






汀の身体が安定したのを見てとると、灯は栗野の腹を軽く蹴り、村のほうへと鼻先を向けた。