「~~~~~っ!!」






灯はきつく眉根を寄せ、この上もなく険しい表情で汀を睨みつける。






「…………お前は。


毎朝、毎朝、性懲りもなく……っ!


どうして俺の眠りを、下らない嫌がらせで邪魔するんだ!?」






灯に睨まれたところで何も怖れなどしない汀は、にこにこと笑っている。






「あら、だって、あなたがなかなか起きてきてくれないから」





「だからってなぁ。


いきなり大量の冷水を顔にかけたり、身体に飛び乗ってきたり、耳の穴に木の枝をつっこんだり………。


挙句の果てに、犬ころの鼻を顔に引っ付けたりする必要が、どこにあるんだ!?」







すると汀は、唇を尖らせて首を傾げた。





「あら、だって私はこの村に来たばかりで、知り合いもないし。


私に付き合ってくれるのは、あなたしかいないのよ?



それなのに、あなたったら毎日朝寝坊ばっかりして………。


私、つまらないんだもの」






「…………お前が、知り合いがいないからといって大人しくしているようなたまか。


誰彼かまわず話しかけているくせに。



そもそも俺は、お前の下らないお遊びに付き合うのが嫌で寝ているんだ!」