「…………大丈夫? 蘇芳丸」





ぐったりと横たわっている灯の傍らに膝をつき、汀は眉を寄せて見下ろしている。






「……………」





「ねぇっ、もしかして、頭を強く打ったんじゃないの!?」





「……………」





「まぁ、どうしましょう、誰か呼んでこなきゃいけないかしら!?」





「…………大丈夫だから、少し黙っていてくれ………」





「…………はぁい」






しばらく心配そうに見つめていた汀だったが、あることに気づいて、あっと声を上げる。






「栗野をつかまえなきゃ!!」






野原を自由に走り回っている栗野に目を向け、汀は追いかけなければと慌てる。





しかしその瞬間、立ち上がりかけた汀の腕を、寝たままの灯がぐいっとつかんだ。






「…………大人しくしてろ」