嬉しげに細められた青く輝く瞳が、陽射しを受けてきらきらと煌めいている。






(…………やっぱり変な奴だ、汀は)






叱られて至極にこにこしている汀を、灯は呆れたように見守る。





怒鳴られるのが嬉しい、などと言う女がどこにいるのだろうか。






しかし、それも当然かも知れなかった。




なぜなら汀は、由緒正しい貴族の娘として、蝶よ花よと大事にされていたのだ。





いくら、自由奔放で破天荒な行動ばかりしているとはいえ。



そんな高貴な姫君を、本気で叱ったり怒鳴ったりする者は、誰一人いなかったのだろう。






(…………つまり、俺はやはり汀の世話役ということか)






それも、仕方ないかもしれない。




だって、灯は結局、汀を放っておくことなど、どうしてもできないのだから。






(…………先が思いやられるなぁ………)






灯はこれからの長い人生を思い、深い溜め息を洩らした。