(ーーーーー早く、戻ってきて。



ねぇ、お願い………だめよ、このままじゃーーーーー)







願うような、祈るような気持ちで、汀は静かに目を閉じた。






その拍子に、閉じた瞼の間から、じわりと涙が溢れてくる。





そして、灯の頬に、ひと雫の真珠が、ぽとりと落ちた。







ゆっくりと開いた汀の瞳に、ぴくりと震えた灯の瞼が映る。








「……………蘇芳丸?」







確かめるように、そして、消えかけている命の火が揺れないように、そっと小さく呟く。





反応はない。







汀はもう一度、言葉を紡ぎ出した。








「蘇芳丸。



ーーーーー灯」