不安そうな声で問われた息吹は、考え込むように顎に手を当てた。






「…………もしかして、遅かったか」






「…………え?」







深刻な低い声で息吹が答えたので、汀は目を瞠る。






「遅かったって、どういうこと?」





「…………つまり、間に合わなかったってことだよ」





「えっ?


だってちゃんと水は吐かせたじゃない」






納得できないように言い募る汀に、息吹は言いにくそうに言葉を選ぶ。







「いや………。


水を飲んで長い間呼吸ができなかったせいで、息を吹き返しても目を覚まさないことがあるんだ」






「……………そんな、まさか………」






「いつまでも目が覚めなかったら、せっかく息を吹き返しても、また呼吸が止まって………」






「………………」







そこから先にどんな言葉が続くのか、さすがの汀でも容易に分かった。







「…………じゃぁ。



蘇芳丸は………蘇芳丸が、このまま目を開かなかったら…………」