その拍子に、灯の口から大量の水が吐き出された。




さらに、噎せるような咳をするごとに、次々と水が零れる。







「あっ、水が出てきたわ!!」





「よし、これで大丈夫だろう」







汀と息吹はほっと安堵して、灯が目覚めるのを待った、が。







「…………あれ? 蘇芳丸………?」






「…………おかしいな」







激しい咳き込みが収まってしばらくしても、灯は目を開けなかった。







「…………どうして?


水はちゃんと吐き出したのに………」







汀は眉を寄せて灯の顔を覗き込む。






その顔は、先ほどまでよりは少し血色が良くなったようにも見えたが、やはり生気が感じられなかった。





やっと回復した呼吸も、あまりにも浅く、小さく、途切れ途切れだ。







「…………ねぇ、息吹、どういうこと?」