「当たり前だろ!!


あんなに長い時間水の中にいたんだから、普通に考えてもう駄目だよ!!」







息吹がそう言うと、汀は目を丸くした。






「…………え?


ど………どういう意味?


もう駄目、って………」






「息が出来なければ人は死ぬんだよ!」






「……………っ!!」







汀は口許を押さえ、息を呑んだ。






(…………し、ぬ………って?


蘇芳丸が…………?)






考えただけで、呼吸が出来なくなりそうだった。






「そっ、そんなの駄目!!


駄目駄目、ぜったい駄目!!


ど、どうしたらいいの!?」





「どうしたらって………」





「そもそも息吹のせいで私も蘇芳丸も青羽山に来ることになったんだから………!



蘇芳丸がもしも、し、し、死んじゃったら、息吹のせいだからね!?」






「はぁっ!?


いや、むしろ、お前が訳の分からない噂を吹聴して俺たちに迷惑をかけたのがそもそもの元凶だろうが!!」






「でもでも、蘇芳丸が助からなかったら、私は一生、いえ来世でも息吹を恨むわよっ!!」






「んな勝手な………っ!!」