汀は灯にしがみついたまま、不敵にも青瑞の姫を睨みつける。







「蘇芳丸はねぇ………。


怪我をしてるところを私が見つけて、手当てをして、一生懸命餌付けをして、やっとのことで手懐けたのよ。


それなのに、まるで我がもののようにされては困るんですっ!!」







汀は自信満々な表情で言い切った。




それを、灯が苦い顔で聞いている。







「……………おい、ちょっと待て。


俺は手懐けられたつもりなんかないぞ」






「え? そうなの?」






「そもそも、怪我をしたの自体お前のせいだし、餌付けなどと失礼な言い方をされるのも心外だ。



勝手なことばかり言うな!」






「あら、でも、初めて口をきいてくれたのは、たしかにご飯を食べさせてあげた時だったわ!」






「あれはお前が無理やり俺に食べさせようとしてくるから、嫌で嫌でたまらなくて仕方なく喋ったんだよ!」







またも夫婦漫才のような掛け合いが始まったので、青瑞の姫が額に青筋を立てる。